“悠(ゆう)” の例文
一時間のうちに悠(ゆう)に二番ぐらいは始末ができるくらいだから、見ていても局に対(むか)っていても、間怠(まだる)い思いはけっしてないのです。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
松が小島、離れ岩、山は浮世を隔てて水は長(とこしな)えに清く、漁唱菱歌(ぎょしょうりょうか)、煙波縹緲(えんぱひょうびょう)として空はさらに悠(ゆう)なり。倒れたる木に腰打ち掛けて光代はしばらく休らいぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
紺いろの空に、鳶(とび)が一羽、悠(ゆう)々と輪をえがいて、気のせいか、道ゆく人の袂(たもと)をなぶる風にも、初春らしい陽(ひ)のうごきが見られる。女の廻礼は七日過ぎてからとなっている。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
まずチョコレートを一杯注文して、それを悠(ゆう)ゆうと飲みながら、私は菓子屋の職人に言った。
また時とすると、腕(うで)よりも口の仕合(しあひ)になつてしまふ。然(しか)し、ここにも先生の風格(かく)は現(あらは)れて、その突(つ)き振(ふ)りたるや悠(ゆう)々重厚(じうこう)の感(かん)じがある。そして、一面(めん)には纎細(せんさい)妙巧(めうこう)の赴(おもむ)きを見る。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
悠(ゆう)に見かへる敵の城。
騎士と姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)