たのみ)” の例文
そのかみレーアこれをえらびてその子のたのみの搖籃となし、その泣く時特に善くかくさんためかしこに叫びあらしめき 一〇〇—一〇二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
微かにしてたのみなく、濁りて響かず。紳士。この喉にはいさゝかの修行の痕あるに似たれど、氣の毒なるは聲に力なきことなり。われ。
人間の種々の貴き「道」について語り得ていることは私のひそかにたのみとしているところではあるが、それは「道」を説くために書いたのではなく
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
独仙君の御説のごとく今の世に御上の御威光をかさにきたり、竹槍の二三百本をたのみにして無理を押し通そうとするのは、ちょうどカゴへ乗って何でもでも汽車と競争しようとあせる
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
醫者いしやさら勘次かんじ藥舖くすりやはしらせた。勘次かんじたゞ醫者いしやのいふがまゝいきせきつてけてあるあひだが、屹度きつとどうにかふせぎをつけてくれるだらうとのたのみもあるのでわづか自分じぶんこゝろなぐさゆゐ一の機會きくわいであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)