御首みしるし)” の例文
そのために討手は襲いかかって王の御首みしるしを挙げることが出来たが、老婆の子孫にはその後代々不具ふぐの子供が生れると云う話。———
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「滅せぬもののあるべきか。これ菩提ぼだいの種と思いさだめざらんは、口惜しかりき次第ぞと、急ぎ、都に上りつつ、敦盛卿の御首みしるしを見れば——」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「私には出来ませぬ。ご自害遊ばしましたら、その後にこそ御首みしるしを頂きましょう」
「何と仰せらるる、大谷刑部少輔殿の御首みしるし在所ありか?」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
亡き殿様の御首みしるしの前で、はからずもお身達にお会い申すことが出来ましたのは、矢張御佛のお引き合わせだと思われてなりませぬ。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
尾張おわりの方へ落ちのび給い、正月三日というに、長田忠致おさだただむねに計られて、あえなくお討たれ遊ばしたのみか、その御首みしるしは、都へ送られ、平家の者の手にかかって
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王はおんみずか太刀たちふるって防がれたけれども、ついにぞくのためにたおれ給い、賊は王の御首みしるしと神璽とをうばってげる途中とちゅう、雪にはばまれて伯母おばみねとうげに行き暮れ
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
全殿に火をけ、右大臣家の側衆もあらまし討ち取り、当の御方おんかた御首みしるしを挙ぐるもやがてのうちに候わん。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もし、お女中、卒爾そつじながらお身たちは、治部殿の御首みしるしを拝んでおいでなされたのでござりましょうな」
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
(右府の御首みしるしを挙げれば、直ちに援軍をわかち得る。それまではただ信忠をのがさぬことを旨となせ)
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「駿河殿と見うけたり。織田家の懸人かかりゅうど桑原甚内、御首みしるしをいただきに推参。お覚悟あれッ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
う疾うお出合いなされて、いさぎよく、御首みしるしたまわれかし』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)