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御證據
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おんしようこ
宿し奉りし上は
何卒御出生の
御子を世に
立度存じ奉れば
後來迄も御見捨なき爲に
御證據の品を
下し置れ度と願ければ徳太郎君も道理に
思し召て
御墨付に
御短刀を
添て下されけり澤の井は
押戴き
御短刀を
取出し相摸殿
率拜見と差付れば御城代
初め町奉行に至る迄
各々再拜し一人々々に
拜見相濟む
是紛もなき
正眞の御
直筆と御短刀なれば一同に
驚き入る是に於て
疑心晴相摸守殿には伊賀亮に
向ひ
斯確なる
御證據の御座ある上は將軍の
御落胤に相違なく
渡らせ給へり此段
早速江戸表へ申
達し
御老中の
返事を