御眼おめ)” の例文
わたくしめはきちと申す不束ふつつかな田舎者、仕合しあわせに御縁の端につながりました上は何卒なにとぞ末長く御眼おめかけられて御不勝ごふしょうながら真実しんみの妹ともおぼしめされて下さりませと
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
俊寛しゅんかん様の御眼おめの中には、わたしの微笑が映ったように、やはり御微笑が浮びました。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
永々なが/\御世話おせわになりました。殘念ざんねんですが、うも仕方しかたがありません。もう當分たうぶん御眼おめかるをり御座ございますまいから、隨分ずゐぶん御機嫌ごきげんよう」と宜道ぎだう挨拶あいさつをした。宜道ぎだうどくさうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「見苦しきなりにて、御眼おめけがしまする」
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
が、遺憾ゐかんながら伊香保へは、高等学校時代に友だちと二人ふたりで、赤城山あかぎさん妙義山めうぎさんへ登つたついでに、ちよいと一晩泊つた事があるだけなんだから、麗々れいれいしく書いて御眼おめにかける程の事は何もない。
忘れられぬ印象 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)