御用聞ごようき)” の例文
手紙てがみをおいまに三かわやの御用聞ごようききがるだろうから子僧こぞう使つかひやさんをせるがい、なんひと孃樣ぢようさまではあるまいし御遠慮計ごゑんりよばかりまをしてなるものかな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
出入りの八百屋の御用聞ごようき春公はるこうと、うち仲働なかばたらきたまと云うのが何時いつか知ら密通みっつうして居て、或夜あるよ、衣類を脊負せおい、男女手を取って、裏門の板塀いたべいを越して馳落かけおちしようとした処を
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
朝のうちに、店の仕事がかたづくと、要吉は、自転車じてんしゃにのって、方々の家へ御用聞ごようききにでかけなければなりません。それはたいてい、大きな門がまえのおやしきばかりでした。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
家から十丁程はなれた塚戸つかどの米屋が新村入を聞きつけて、半紙一帖持って御用聞ごようききに来た時、彼はやっと逃げ出した東京が早や先き廻りして居たかとばかりウンザリしてはなはだ不興気ふきょうげな顔をした。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)