御恵みめぐみ)” の例文
旧字:御惠
いと浅からぬ御恵みめぐみもて、婢女の罪と苦痛を除き、このにおよび、慈悲の御使おんつかいとして、わらべつかわし玉いし事と深く信じて疑わず、いといとかしこみ謝し奉る
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
「イエス・クリストよ。神の子よ。我等に御恵みめぐみを垂れ給へ。」先づかう唱へて、それからじゆを一つじゆした。頌がまだをはらぬうちに、どこからか雀が一羽飛んで来て地の上に下りた。
『願くば御恵みめぐみを垂れ給へ!』ぢた其眼の長い睫毛を伝つて、美しい露が溢れた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
つゝしんでおもんぱかるにかみ御恵みめぐみあまねかりし太古たいこ創造さう/″\時代じだいには人間にんげん無為むゐにして家業かげふといふ七むづかしきものもなければかせぐといふ世話せわもなく面白おもしろおかしくくつ日向ひなたぼこりしてゐられたものゝ如し。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
永く御恵みめぐみを垂れ給へ。
「イエス・クリストよ、神の子よ、我に御恵みめぐみを垂れ給へ」と繰り返してゐた。