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得顔
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えがお
ふりがな文庫
“
得顔
(
えがお
)” の例文
折しも秋の末なれば、屋根に
生
(
お
)
ひたる
芽生
(
めばえ
)
の
楓
(
かえで
)
、時を
得顔
(
えがお
)
に色付きたる、その
隙
(
ひま
)
より、
鬼瓦
(
おにがわら
)
の傾きて見ゆるなんぞ、
戸隠
(
とがく
)
し
山
(
やま
)
の
故事
(
ふること
)
も思はれ。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
こういう場合には、情熱が時を
得顔
(
えがお
)
にのさばり出て、それがちょうどいい
工合
(
ぐあい
)
に事件と調和するときには、いつまでもその事件の蔭にとどこおっているものである。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
押しつけるような
閑静
(
のどか
)
のなかを、直ぐ前の
御成
(
おなり
)
街道をゆく鳥追いの唄三味線が、この、まさに降らんとする血の雨も知らず、
正月
(
はる
)
を
得顔
(
えがお
)
に、
呑気
(
のんき
)
に聞えて来ていた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
成願寺の森の中の
蘆荻
(
ろてき
)
はもう人の肩を没するほどに高くなって、
剖葦
(
よしきり
)
が時を
得顔
(
えがお
)
にかしましく鳴く。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
過分の勲功を立てながら左程の御恩賞にも
与
(
あずか
)
らず、忠なき
輩
(
やから
)
が
時
(
とき
)
を
得顔
(
えがお
)
に威張り散らしておりますのを恨んでいる者共が、随分多いのでござりますと、申したのでござりました。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
何しろあれだけ大きな建物がなくなってしまった事とて境内は
荒野
(
あれの
)
のように広々として重苦しい夕風は真実無常を誘う風の如く
処
(
ところ
)
を
得顔
(
えがお
)
に勢づいて吹き廻っているように思われた。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
例の保守的思想が時を
得顔
(
えがお
)
に
跋扈
(
ばっこ
)
するのであるからかような議論は
毫
(
ごう
)
も驚くに足らないわけであるが、そういう男子が自分らだけは昔から自由を享得していたような態度であるから
滑稽
(
こっけい
)
である。
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
……現在の人類全盛の世界は一瞬間に未来の夢となって、マンモス、エレファス、ステゴドンなぞいう巨獣が、
時
(
とき
)
を
得顔
(
えがお
)
にノサバリ廻っている百万年前の象の世界が、脚下に展開して来るであろう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
顔
常用漢字
小2
部首:⾴
18画
“得”で始まる語句
得
得意
得物
得心
得体
得々
得手
得度
得態
得策