“後事(こうじ)” の例文
私は一個の手間取りでありますから、高村家の後事(こうじ)について一家の内事にまで指図(さしず)をするというわけには参らず、甚だ工合の悪い立場に立ったのであった。
二世勝三郎は終(おわり)に臨んで子らに遺言(ゆいごん)し、勝久を小母(おば)と呼んで、後事(こうじ)を相談するが好(よ)いといったそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
何処(いずこ)にも宿り、何処にもつながりを見せるものに思われます、あそこに紀介様がお越しになったばかりではなく、かげながら後事(こうじ)を托(たく)されていたということも、わたくしには
玉章 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
されど彼女に禍(わざわい)を及ぼさんは本意なしと思いければ、石塚重平氏に托(たく)して彼に勉学を勧(すす)めさせ、また於菟(おと)女史に書を送りて今回の渡航を告げ、後事(こうじ)を托し、これにて思い残す事なしと
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
高橋その馳走(ちそう)をうけ、これにて少し腹(はら)が癒(い)えたとて去りたりと。この高橋は洋学(ようがく)にも精通(せいつう)し、後来(こうらい)有望(ゆうぼう)の人なりけるに、不幸(ふこう)にして世を早(はや)うせり。先生深く惋惜(えんせき)し、厚く後事(こうじ)を恤(めぐ)まれたりという。
さしおいて、弟のあなたに、政務や後事(こうじ)を以後お託しになりましょうか
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)