引越ひっこし)” の例文
うじゃ、立派りっぱなおみやであろうが……。これでそなたのようやかたまったわけじゃ。これからは引越ひっこしさわぎもないことになる……。』
けれども折角新しい生涯に入ったのに、運が悪いらしく、一、二度引越ひっこしもしましたが、その度に粗末な家になって行きます。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
東京から引越ひっこし当座とうざの彼等がざまは、笑止しょうしなものであった。昨今の知り合いの石山さんをのぞく外知人しりびととてはもとよりなく、何が何処にあるやら、れを如何どうするものやら、何角なにかの様子は一切からず。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そう、今日お引越ひっこしなすったの、何でしょう、兵児帯へこおびをして、前垂まえだれを懸けた、ふとった旦那と、襟のかかった素袷すあわせで、器量のいかみさんとが居る内でしょう。そうなの、それじゃあついそこなんだわ。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
保養ほようめに、このむすめ一人ひとり老女ろうじょ附添つきそわれて、三崎みさきとお親戚しんせきあたるものの離座敷はなれざしき引越ひっこししてまいりましたのは、それからもないことで、ここではしなくも願掛がんがけのはなしはじまるのでございます。
小児一 何だ、引越ひっこしかなあ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)