帆船ほぶね)” の例文
比良野貞固さだかたは江戸を引き上げる定府じょうふの最後の一組三十戸ばかりの家族と共に、前年五、六月のこう安済丸あんさいまるという新造帆船ほぶねに乗った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
うみうえおだやかで、やがてひかりたかのぼるとなみは、いっそううつくしくきらめいて、前日ぜんじつまでのものすごさはどこへかえてしまい、帆船ほぶねや、小船こぶねや、汽船きせんうみうえかんで
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おまえたちはみんなまっ赤な帆船ほぶねでね、いまがあらしのとこなんだ」
ひのきとひなげし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
まあ、いまごろ、あの方きっと、帆船ほぶねをはしらせていらっしゃるのね。
ほのぼのと不二の裾廻にしらむのつらつら帆船ほぶね行けりともなし
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
帆船ほぶね海鳥かいてう
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
このおねえさまは、そのなかのいちばん大きい山に腰をかけて、そのながい髪の毛を風のなぶるままにさせていますと、そのまわりに寄って来た帆船ほぶねの船頭は、みんなおどろいて、船をかえしました。
恋の帆船ほぶねの——
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)