おおき)” の例文
なぎさの、斜向はすむこうへ——おおきな赤い蛇があらわれた。蘆かやを引伏せて、鎌首を挙げたのは、真赤まっかなヘルメット帽である。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
顔がおおきくて、赤い、短いひげの多い、少し猫背の男が、いきなり何か大声で手振りをして話し出した。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
勝平が、その堅肥かたぶとりのおおきい手を差し出そうとした時、瑠璃子は初めて声を出してしっした。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
枯木のような脊の高い、蒼い顔した※々ひひ、あの、絵の※々、それの鼻、がまた高くておおきいのが、黒雲のようにかぶさると思いましたばかり……何にも分らなくなりました。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こゝまで読んで、私は又あわてた。けてつのの生えた蛞蝓なめくじだと思つた、が、うでない。おおいなる蝦蟆がまが居た。……其のいぼ一つづゝ堂門どうもんくぎかくしの如しと言ふので、おおきさのほども思はれる。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)