巌谷小波いわやさざなみ)” の例文
それを見ていると半分は土地の昔話、残り半分は巌谷小波いわやさざなみ君、久留島武彦くるしまたけひこ君などの本から読んだものの不精確なる記憶でありました。
そんなことから、後に紅葉の傑作「金色夜叉こんじきやしゃ」が出ると、お宮はお須磨さんがモデルで、貫一は巌谷小波いわやさざなみ氏だといううわさなども高かった。
大橋須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
内藤鳴雪めいせつ、大町桂月けいげつ、森鴎外、泉鏡花、田山花袋、児玉花外、巌谷小波いわやさざなみ、江見水蔭……みんな、会っておいて、よかったと思う人ばかりだ。
胡堂百話 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
この人生れてより下二番町しもにばんちょうに住み巌谷小波いわやさざなみ先生の門人とは近隣のよしみにて自然と相識あいしれるがうちにも取りわけ羅臥雲らがうんとて清人しんじんにて日本の文章俳句を
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
元来この小説は京都の日の出新聞から巌谷小波いわやさざなみさんの処へ小説を書いてくれという註文が来てて、小波さんが書くつなぎとして僕が書き送ったものである。
その発起人のうちに私の名もつらなっている。巌谷小波いわやさざなみ氏兄弟の名もみえる。そのほかにも軍人、法律家、医師、実業家、種々の階級の人々の名が見いだされた。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
巌谷小波いわやさざなみの“世界お伽噺”を知って、それに読みふけったのもこの頃からである。ぼくの読書の初めといっていい。博文館の少年世界は、まだ少し難しい感があった。
小父さん小母さんの聖地パレスタインだけに日本の「おじさん」巌谷小波いわやさざなみ久留島武彦くるしまたけひこなんかという名刺も散見。グラアブルダ・トルフ街郵便局のそばに、またアンデルセンの像。
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
御伽小説専門の巌谷小波いわやさざなみ氏や、法官の滝川愚仏氏、また森無黄むこう岡野知十おかのちじゅう氏などが連合して、一箇の俳社が出来た、此方でも俳声という雑誌を出して、後には卯杖と改称した。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
巌谷小波いわやさざなみ君のお伽話とぎばなしもない時代に生れたので、お祖母ばあさまがおよめ入の時に持って来られたと云う百人一首やら、お祖父じいさまが義太夫を語られた時の記念に残っている浄瑠璃本じょうるりぼんやら
サフラン (新字新仮名) / 森鴎外(著)
硯友社けんゆうしゃ花やかなりし頃の作家では、巌谷小波いわやさざなみ山人にたった一回、大正時代に有楽座で自由劇場の第何回目かの試演の時に、小山内薫おさないかおるに紹介してもらって、廊下で立ち話をしたことがあった。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
紅葉先生の著作は初から晩年の「金色夜叉」に至るまで皆春陽堂から出ていたのですが、全集は重に巌谷小波いわやさざなみ先生が編纂されたような事から博文館から出版されました。
出版屋惣まくり (新字新仮名) / 永井荷風(著)
明治の文豪尾崎紅葉氏の「金色夜叉こんじきやしゃ」は、巌谷小波いわやさざなみ氏と須磨子夫人をとったものと噂されたが、小波氏は博文館になくてならない人であり、童話の作家として先駆者である。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
然るに当日午後の四時を期して上野停車場の待合室に集るものを見れば会長巌谷小波いわやさざなみ先生を始めとして十四、五人の会員一人として罰金を出すものなくいづれも車夫しゃふ、牛乳配達夫、職人
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)