岩頭がんとう)” の例文
ついに、しんぱくは、岩頭がんとうのかわりに、紫檀したんたくうえかられたのでした。そして、ほしのかわりに、はなやかな電燈でんとうらしたのでした。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
異人は岩頭がんとうに坐っている。前には大河が泡を噛んで大蛇のように走っている。それらのものの背後うしろには、鬱々うつうつと茂った緑の山が、すくすくと空にそびえている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いのるがごとく、えるがごとく、雷神の滝の岩頭がんとうに、果心居士かしんこじの声がこうひびいた時である。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふしぎな怪物のごえがする。そして、すさまじいばたきがそこで聞えた。見ると、ひとつの岩頭がんとう金瞳黒毛きんどうこくもう大鷲おおわしが、威風いふうあたりをはらい、八方を睥睨へいげいしてとまっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鞍馬くらま道士どうし果心居士、竹童をひっかかえて岩頭がんとうにたち、鞺鞳とうとうたる雷神らいじんの滝を眼下がんかにみた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)