居城きょじょう)” の例文
かしこの威徳おとろへたりといえども、さすがは征夷せいい大将軍の居城きょじょうだ、何処いずこの門も、番衆、見張、厳重にして隙間すきまがない。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
躑躅つつじさきの古城は武田家の居城きょじょうのあったところ。三面には岡があるけれど、城は平城ひらじろ、門の跡や、くるわのあと、富士見御殿のあった台の下には大きな石がある。
あおい駿河するがの海岸線の一たんには、家康いえやす居城きょじょうが、松葉でつつんだ一菓子かしのごとく小さくのぞまれる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてこれから、秀吉ひでよし居城きょじょう安土あづちへのぼって、助けを借りようという虫のよい考え。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なにしろ、黄河の上流、洛陽の都には今、後漢ごかんの第十二代の帝王、霊帝れいてい居城きょじょうがあるし、珍しい物産や、文化のすいは、ほとんどそこでつくられ、そこから全支那へ行きわたるのである。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうだい、ついこの夏までは、右大臣織田信長うだいじんおだのぶなが居城きょじょうで、この山のみどりのなかには、すばらしい金殿玉楼きんでんぎょくろうが見えてよ、金のしゃちや七じゅうのお天主てんしゅが、日本中をおさえてるようにそびえていた安土城あづちじょうだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)