ちいさ)” の例文
お前はちいさい時分から小三郎に許嫁をしたもの故、お父様とっさまが浪人しても、忰の方へお前を貰おうと、其の相談もしたいと思って居ったが
鏡子は白い胸をけた。六年程子の口の触れないちゝは処女のちゝのやうにちいさく盛り上つたに過ぎないのである。
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「もう七十四です。このお婆さんより二つ上です。ちいさい時分私がこの人を始終おぶしてね」
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
この兄弟はちいさい時に、両親に別れたため、少しばかりあった田やはたも、いつのにか他人に取られてしまい、今ではだれもかまってくれるものもなく、他人の仕事などを手伝って
三人兄弟 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
『体源抄』十巻練習事条にちいさ御前が歌はカワラケ音にて非愛にヒタタケて誠の悪音なり、しかも毎調に愛敬あいきょうありてめでたく聞えしは本性の心賢き上によく力の入るが致すところなり云々
此の時にの刀屋の番頭重三郎は川の中へほうり込まれたがおよぎを存じておりますというは、羽根田はねだで生れた人ゆえちいさい時から海の中に這入って泳ぎつけて居ります。
音「わっしちいさい時分に別れたから小三さんの顔は知りまへんが、品といい様子といい、誠に実の有りそうな人だったが、若しやの目の悪い客衆が小三さんなら何うしたら宜うございましょう」
幸「あれは、おちいさい時分に一つお屋敷に居てお乳を上げたので」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)