)” の例文
新字:
向ふの側にも柿の樹があツて、其には先ツぽの黄色になつた柿が枝もたわゝにツてゐた。柿の葉はかすかそよいで、チラ/\と日光ひかげが動く。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「恐ろしく負け續けの癖に、——金のる木を植ゑたんだ。五兩や十兩の金に驚くけえ——なんて小判をバラいて居るさうで」
さいはひにして一人ひとりではひきれぬほど房々ふさ/\つてるのでそのうれひもなく、熟過つえすぎがぼて/\と地にちてありとなり
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
赤い苺がびつしりつて居る。苺は大分たべた。夫に到る處山桃がある。時々腕白も木になつてる事がある。何處であつたか熊野あたりの神社のうたであつたが
壱岐国勝本にて (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ぶんに過ぎた慈悲善根じひぜんこんほどこして、その日/\を豊かに暮して居るのに、少しも困る樣子は無いばかりでなく、益々富み榮えて、『あれは金のる木でも植ゑてゐるのだらう』
隅の方には、葉の細い柿の樹が一本、くの字なりにひよろりとしてゐる。らぬ柿の樹だ。其の下に地を掘ツた向ふの家の芥溜が垣根越しに見える。少し離れて臺所も見える。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「不斷百も持つて居ない人間だが、この二三日馬鹿に景氣がよくて、伊太郎などは近在の賭場とばを門並み荒して歩いたさうだよ。——何んでも金のる木を植ゑたとか言つて」
わけても平右衞門町の佐渡屋——金のる木を植ゑたと言はれる兩替屋の裏座敷には、二階から塀を越して、高々と水に張出した櫓をけ、女主人お兼を中心に、店の者一統、出入りの衆