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みやづか
「むりに
宮仕へをしろと
仰せられるならば、
私の
身は
消えてしまひませう。あなたのお
位をお
貰ひになるのを
見て、
私は
死ぬだけでございます」
津の国
兎原の山下に小さい家を作って住んでいた彼に、やっと
宮仕えする便りが訪ずれた。
服装は
私の
時代よりはやや
古く、
太い
紐でかがった、
広袖の
白衣を
纏い、そして
下に
緋の
袴を
穿いて
居るところは、
何う
見ても
御所に
宮仕えして
居る
方のように
窺われました。
しかし、米友はいま
宮仕えの身であります。
「
私がこの
國で
生れたものでありますならば、お
宮仕へも
致しませうけれど、さうではございませんから、お
連れになることはかなひますまい」
「
位を
頂いても、そなたに
死なれてなんとしよう。しかし、
宮仕へをしても
死なねばならぬ
道理はあるまい」