威儀いぎ)” の例文
一方は赤裸々の心事を、赤裸々に発表すれども、他方はいやしくも人に許さず、甚だ一笑一顰いっぴんおしみ、礼儀三千威儀いぎの中に、高く標置す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
心からであったが、自分でも余りはしたなく泣いた事を、すぐ後では恥ずかしく思い出したとみえ、威儀いぎ改めて、両手をつかえた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
部屋のなかでは、忠相が威儀いぎをただして、小高い膝頭をそろえたまま庭のほうへ向けたらしい。すわりなおすきぬずれの音がして、やがて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ところが形姿かたち威儀いぎならびなき一人の男が夜中にたちまち來ました。そこで互にでて結婚して住んでいるうちに、何程もないのにその孃子おとめはらみました。
しかし、今日きょうは、故郷こきょうかえることをもうしあげに、靖国神社やすくにじんじゃへおまいりをするのであります。清作上等兵せいさくじょうとうへいは、軍服ぐんぷく威儀いぎをただして、金色きんいろ徽章きしょうむねにつけ、堂々どうどうとして宿やどかけたのでありました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あざみ咲く土に太宗おはします四辺しへん殿舎でんしや威儀いぎに立てども
こけ猿の茶壺は手になくとも、もはや一刻の猶予ゆうよはならぬと、急遽供をまとめて本郷の道場へ乗りこんできた……あられ小紋のかみしもに、威儀いぎをただした正式の婿入り行列。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
景季は、わざと、義経のことばをそらして、威儀いぎ作った。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
プッ! と吹きだしそうになるのを、喜左衛門と鍛冶富、互いにそっとひじで小突きあってこらえているうちに、かたわらの源十郎が威儀いぎをただして、しんみりとこんなことを言い出した。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と、一学はさらにパッと威儀いぎをあらためて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
威儀いぎをただして、小文治が復命する。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)