姿態したい)” の例文
達手だてで自由でい、と私はそばで思いました。いかにも文明国の、そして自由な新時代の女性としての公平なポーズ(姿態したい)だと思いました。
女性の不平とよろこび (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そして、怖ろしいまでの苦悶くもんの跡をみせて、その年若い婦人の裸体が不自然な姿態したいをその中に示しているのであった。——
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その手がつかんだのは、窓から這い入っていつか伸び放題の姿態したいをしていた藤蔓ふじづるの先であった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其日のうち逃帰にげかへらむかとすでに心を決せしが、さりとては余り本意ほい無し、今夜こよひ一夜ひとよ辛抱しんばうして、もし再び昨夜ゆうべの如く婦人のきたることもあらば度胸をゑての容貌とその姿態したいとを観察せむ
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おせんの様々さまざま姿態したいつくされているのもすさまじかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
堂の内部は、たたみ二十枚ほど敷ける。と、机と、書箱ほんばこのほか、何もないが、奥の方に、小さな棚が幾だんもあって、それに、さまざまな姿態したいをした木彫人形もくちょうにんぎょうが、五百羅漢ごひゃくらかんのように並んでいる。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)