大形おおぎょう)” の例文
叔父は昔の事を考えて何かと大形おおぎょうに心配したがるのを、まあまあ時代が違ったのだからと、サービスのプランなぞ相談したのですが
浴槽 (新字新仮名) / 大坪砂男(著)
六の君を后の候補者というような大形おおぎょうな扱いをせず、はなやかに、人目を引くような派手はでな扱いをして貴公子の心を多くくようにしていた。
源氏物語:44 匂宮 (新字新仮名) / 紫式部(著)
六枚屏風は少し大形おおぎょうだと感じましたが、その手重いところが、また、旅情の一つと嬉しくも思いました。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とお父さんは高が名所見物か何かを北極探検のように大形おおぎょうに言った。それでも三輪さんは
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
病身で鼠のやうに気の弱い伊豆のもとへ驀地まっしぐらに躍り込み、おつ被せるやうにして、「むむ、ああ、もう俺はあのけつたいな女詩人を見るのも厭になつた」痴川は顔を大形おおぎょうに顰めて
小さな部屋 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
孫作が口からあわをとばして説明するのを聞くと、四名の者は大形おおぎょうにおこりだした。
だんまり伝九 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
山「御盃などと大形おおぎょうなことを云っては困ります、わたくしは一体酒は飲まんたちで」
こうした祭壇の下にはまた、旌旗せいき宝蓋ほうがい大戟たいげき、長槍、白旄はくぼう黄鉞こうえつ朱旛しゅはんなどを持った兵士二十四人が、魔を寄せつけじと護衛に立つなど——何にしてもこれは途方もない大形おおぎょうな行事であった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「先生の面目なんぞはどうだってかまいませんが、これが見込み違いだったとなると、大形おおぎょうに番屋中に触れ廻った手前、あっしは引っ込みのつかないことになってしまいます。これはどうも、弱った」
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
奏楽所などは大形おおぎょうに作ってはなくて、すぐに御前での管絃かんげんの合奏が始まった。御書所の役人に御物の楽器が召された。夜がおもしろくけたころに楽器類が御前にそろった。
源氏物語:33 藤のうら葉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
病身で鼠のように気の弱い伊豆のもとへ驀地まっしぐらに躍り込み、おっかぶせるようにして、「むむ、ああ、もう俺はあのけったいな女詩人を見るのも嫌になった」痴川は顔を大形おおぎょうしかめて
小さな部屋 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
と姉弟しめし合せている。芳子さんは間もなく戻って来て、大形おおぎょうに胸を叩きながら
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
森「大形おおぎょうになりやしたなア、こりゃアお前さんが書いたのかね」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宇治では薫から大形おおぎょうな使いなどもよこされてあるのに、深更まで宮はお見えにならず、お手紙の使いだけの来たために、これであるから頼もしい方とは思われなかったのであると
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
蟠「阿部大層大形おおぎょうになったな、そう腹を立ってはいかぬ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いつもながらの大形おおぎょうさに海舟は笑って
二人の女御のいどみから始まったちょっとした絵の上のことでも源氏は大形おおぎょうに力を入れて梅壺うめつぼを勝たせずには置かなかったことから中納言は娘の押されて行く運命も予感して口惜くちおしがった。
源氏物語:17 絵合 (新字新仮名) / 紫式部(著)
京へ移って行った日に入り用な纏頭てんとうに使う品、それらもあまり大形おおぎょうには見せずこまごまと気をつけてそろえて届けられたのである。何かのおりには親身な志を見せる薫を喜んで、女房たちは
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
もう私は死んでいるのですから、私が悪くってもあなたはよくとりなして言ってくだすっていいではありませんか。そうお恨みしただけで、こんな身になっていますと大形おおぎょうな表示にもなったのです。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
悪筆で次の歌などは大形おおぎょうに一字ずつ離して書いてある。
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)