多少いくら)” の例文
時々さう思ふ事がある、あの人の水臭い仕打の有るのは、多少いくらか自分をあなどつてゐるのではあるまいか。自分は此家ここの厄介者、あの人は家附の娘だ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
トロリとした鶴見つるみ神奈川かながはぎて平沼ひらぬまめた。わづかの假寢うたゝねではあるが、それでも氣分きぶんがサツパリして多少いくら元氣げんきいたのでこりずまに義母おつかさん
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「それは多少いくらか気を悪くなさるだろうけれど、言わないで置けばこの後どんなことに成りゆくかも知れないよ」
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
床に入って眼を閉じている時、この時には多少いくらか良心の眼はめそうなものだが、実際はそうでなかった。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
余は此老人を見て空知川の沿岸の既に多少いくらかの開墾者の入込いりこんで居ることを事実の上に知つた。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかもこれはをんなはうから種々しゆ/″\問題もんだい持出もちだしてるやうだそして多少いくらうるさいといふ氣味きみをとこはそれに説明せつめいあたへてたが隨分ずゐぶん丁寧ていねいものけつして『ハア』『そう』のではない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)