外科げか)” の例文
「大津から外科げかをよんだり、薬風呂をたてたりして、あの銀五郎という親分が、親身になって世話をするので、だいぶよいという話だ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いっぽう、アメリカでは、ニューヨークの大病院の、もっとも進歩した機械と、外科げか部長の、世界に名をしられた博士はくしが、消えてなくなったのです。
宇宙怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかるに医学博士いがくはかせにして、外科げか専門家せんもんかなるかれちちは、断乎だんことしてかれ志望しぼうこばみ、もしかれにして司祭しさいとなったあかつきは、とはみとめぬとまで云張いいはった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
今日外科げかは大進歩をとげ、人体を縫合ぬいあわせ、神経をつなぎ、そのあとで高圧電気を、ごく短い時間、パチパチッと人体にかけることによって、百人中九十五人まで生き返らせることが出来る。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このむらには、専門せんもん医者いしゃがありませんでした。内科ないか外科げかねたたよりげないものしかなかったので、治療ちりょうにも無理むりがあったか、正吉しょうきちれた右脚みぎあしは、ついにもとのごとく、びずにしまいました。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほとんど半身、外科げかの手当に繃帯ほうたいされている病人は、夏の夜の寝苦しさと、傷の激痛にうめきを太く、時折ときおり白い床の上にうつつの身をもがいていた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
外科げかでは上手と云われているが、脂ぎった五十男で、仁術じんじゅつという職業には余りに体力的な人物だった。道楽が多いらしいのである。いつも高利を借りて苦しんでいる。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
腰、肩、二ヵ所の深い太刀傷も、平賀源内の外科げかの治療をうけて、思いのほか早くえた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)