坦々たん/\)” の例文
これよりみやこし驛に至る、坦々たん/\の如き大路たいろにして、木曾川は遠く開けたる左方の山の東麓を流れ、またその髣髴を得べからず。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
「アデェル、あそこの畑を御覽。」もう私共はソーンフィールドの門を出て、ミルコオトへの坦々たん/\とした路を輕くすべつて行くのであつた。
千束町せんぞくまちとぶの前から自転車に乗って、紺碧こんぺきの空の下にかすんでいる上野の森を目標に、坦々たん/\たる一本路を一直線に走って行く己は、なんだか体に羽根が生えて
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
翌朝よくてう一風呂ひとふろキヤ/\とび、手拭てぬぐひしぼつたまゝ、からりとれた天氣てんきさに、かはきし坦々たん/\とさかのぼつて、來日くるひヶ峰みねかたむかつて、晴々はれ/″\しく漫歩ぶらつした。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
聞く、新道の木曾川に沿へるの邊、奇景百出、岩石の奇、奔湍ほんたんの妙、旅客必ずこれを過ぎざるべからずと。いはんや、其路坦々たん/\としての如く、復た舊道の如く嶮峻ならざるに於てをや。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)