土色つちいろ)” の例文
博士は驚いて戸口の方へはこんだ。扉に手をかけようとするとドアの方でひとりでパッと開いた。——その向こうには、助手の理学士の土色つちいろの顔があった。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
おとこは、やまを五たびくだって、またのぼったきおくがあります。それでくらにいって、かずをかぞえてみると十いれたものが、八つしかなかった。かれのかおは、土色つちいろとなりました。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
男の顔は、光線の加減か土色つちいろに見えた。ひどく大儀たいぎそうだった。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
土色つちいろにはた青銅せいどう
寂寞 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
松林まつばやしなかに、まんは、母親ははおやならべてほうむられました。その土色つちいろのまだあたらしいはかまえには、ごとに、だれがあげるものか、いつもいきいきとした野草のぐさはなや、山草やまぐさ手向たむけられていました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)