四年よとせ)” の例文
鰐淵直行、この人ぞ間貫一が捨鉢すてばちの身を寄せて、牛頭馬頭ごずめずの手代と頼まれ、五番町なるその家に四年よとせ今日こんにちまで寄寓きぐうせるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おもへば四年よとせの昔なりけり、南翠氏なんすゐしとも学海先生がくかいせんせい別荘べつさうをおとづれ、朝よりゆふまでなにくれとかたらひたることありけり、其時そのとき先生せんせいしめさる。
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
長順 思へば女一人のために、身を殺さむは、さすが世間の手前、人の思はくも恥かしく、此世ながらの梵涅槃ぼんねはん桑門さうもんの道に入りもしたれ、そなたと分れて四年よとせの間……
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
長崎に来りて四年よとせの夏ふけむ白さるすべり咲くはいまだ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
し彼のまなこにらまれんとも、互のおもてを合せて、ことばかはさずともせめては相見て相知らばやと、四年よとせを恋にゑたる彼の心はいらるる如く動きぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その子のせし後、彼は再び唯継の子をば生まじ、と固く心に誓ひしなり。二年ふたとせのち三年みとせの後、四年よとせの後まであやしくも宮はこの誓を全うせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)