命婦みょうぶ)” の例文
中宮ちゅうぐうの御殿へ行くと、女房たちは久しぶりの源氏の伺候を珍しがって、皆集まって来た。中宮も命婦みょうぶを取り次ぎにしてお言葉があった。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
姉の勢以せい子は外御門そとみかど命婦みょうぶに行き、七十くらいになっていた母堂が鼻緒の壺縫いをするというあっぷあっぷで、安部は学習院の月謝をいくつもためこみ
予言 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
内裏だいり典侍てんじ命婦みょうぶのかよう廊ノ間に落しぶみをしておけば、その夜の忍ぶ手のまさぐりに、ねばき黒髪と熱いくちびるが、伽羅きゃらなどというこうるるにやあらんやみに待ちもうけていて
命婦みょうぶより牡丹餅たばす彼岸ひがんかな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ついにはお胸の痛みが起こってきてお苦しみになった。命婦みょうぶとかべんとか秘密にあずかっている女房が驚いていろいろな世話をする。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
命婦みょうぶより牡丹餅ぼたもちたばす彼岸ひがんかな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
私もそう思うが軽率けいそつな恋愛あさりから、人を死なせてしまったという責任を感じるのだ。君の妹の少将の命婦みょうぶなどにも言うなよ。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)
命婦みょうぶより牡丹餅ぼたもちたばす彼岸ひがんかな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
命婦みょうぶは贈られた物を御前おまえへ並べた。これがからの幻術師が他界の楊貴妃ようきひって得て来た玉のかざしであったらと、帝はかいないこともお思いになった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
野分のわきふうに風が出て肌寒はださむの覚えられる日の夕方に、平生よりもいっそう故人がお思われになって、靫負ゆげい命婦みょうぶという人を使いとしてお出しになった。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
これを命婦みょうぶから源氏へお伝えさせになった。宮のお召し物の動く音などもほのかではあるが聞こえてくると、源氏は恨めしさも忘れてまず涙が落ちた。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それでいよいよ行幸の日が近づいて来たわけで、試楽とか何とか大騒ぎするころに命婦みょうぶは宮中へ出仕した。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
左衛門さえもん乳母めのとといって、源氏からは大弐だいにの乳母の次にいたわられていた女の、一人娘は大輔たゆう命婦みょうぶといって御所勤めをしていた。王氏の兵部ひょうぶ大輔である人が父であった。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
命婦みょうぶも女王をいたましく思っていた。女王自身はただ恥ずかしく思っているだけで、今朝来るべきはずの手紙が夜になってまで来ないことが何の苦労にもならなかった。
源氏物語:06 末摘花 (新字新仮名) / 紫式部(著)
典侍ないしのすけ内侍ないし命婦みょうぶも絵の価値を論じることに一所懸命になっていた。女院も宮中においでになるころであったから、女官たちの論議する者を二つにして説をたたかわせて御覧になった。
源氏物語:17 絵合 (新字新仮名) / 紫式部(著)
例の命婦みょうぶがお言葉を伝えたのである。源氏は御簾みすの中のあらゆる様子を想像して悲しんだ。おおぜいの女の衣摺きぬずれなどから、身もだえしながら悲しみをおさえているのがわかるのであった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
命婦みょうぶは泣く泣く
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)