同年おないどし)” の例文
私と同年おないどし竹中たけなかはんが私のうちへ遊びに来る約束をしてくれました。その日になりますと私は嬉しさに学校へ行く気になれませんでした。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
その時彼は十六になっていたが——ある同年おないどしの少女を、急に好きはじめたのである。少女は彼のある同級生の妹で、金髪の、思い切って陽気な子だった。
「馬鹿だなあ、あんな女を思つて。思つたつて仕方しかたがないよ。第一、君と同年おないどし位ぢやないか。同年おないどし位の男に惚れるのはむかしの事だ。八百屋御七時代の恋だ」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この二人の少女は同年おないどしの十八歳で、殆どお揃いと云ってもいい不断着のワンピースに包まれていたが、その容貌の相違は、実に際立った対照をしていた。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「あなたこそ。見違えるくらいですわ。でも二年足掛け三年目ですからね。無理もないわ。あの頃同年おないどしでしたから今でも矢っ張り同年なんでしょうねえ?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そういったとたん、ふと気がつくと庭に面した窓の外で、今まで中の容子ようすをうかがっていたらしい、龍介と同年おないどし位の混血児少年が、さっと身を翻して走り去るところだった。
黒襟飾組の魔手 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しづやの家は吉原土手の向うにあって、べつに縁つづきというわけではなかったが私の家とは同姓で、またしづやの弟は私の兄と同年おないどしで、同じく土手向うの待乳山まつちやま小学校に通学していた。
生い立ちの記 (新字新仮名) / 小山清(著)
それと引違えてしずかに現れたのは、むらさきの糸のたくさんあるごくあらしま銘仙めいせんの着物に紅気べにっけのかなりある唐縮緬とうちりめんの帯をめた、源三と同年おないどしか一つも上であろうかという可愛かわいらしい小娘である。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
丁度私と同年おないどしぐらゐの花だが、暴風あらしの晩に萎れて了つたかも知れない。
わるい花 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
住職は奥様と同年おないどしといふ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼女の夫というのは健三の従兄いとこにあたる男だから、つまり姉にも従兄であった。しかし年齢とし同年おないどしか一つ違で、健三から見ると双方とも、一廻りも上であった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは私に同年おないどしでした。そのねえさんが茂江しげえさんで、そのもう一つ上が幾江いくえさんでした。斜向すぢむかひの角の泉勇いづゆうと云ふ仕立屋の子は、おうたちやんと、名を云ひました。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
「ばかだなあ、あんな女を思って。思ったってしかたがないよ。第一、君と同年おないどしぐらいじゃないか。同年ぐらいの男にほれるのは昔の事だ。八百屋やおやしち時代の恋だ」
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私とおさやんは同年おないどしでしたけれども、おさやんは三月に生れて私は十二月に生れたからまあ一歳ひとつ違ひのやうなものだと私の母であるおさやんの叔母が何時いつも云ひますのを
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)