口重くちおも)” の例文
生まれつきソバケーヴィッチは口重くちおもで舌廻りが悪いため、何か飛んでもない言い損いをしたものか、ちょっと見当がつかなかった。
正太しようたはじめて美登利みどりそでいて似合にあふね、いつつたの今朝けさかへ昨日きのふかへ何故なぜはやくせてはれなかつた、とうらめしげにあまゆれば、美登利みどりうちしほれて口重くちおも
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
口重くちおもな行田は一とつことを繰返しながら酒井を連れて來た。酒井は柱のところに中腰になつて
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
口重くちおもげで、もの言いぶりも吶々とつとつと、風貌からして、ぼくとつな武人である。年齢は四十がらみ。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、平日いつも口重くちおもな、横浜生れではあるが、お母さんは山谷さんや八百善やおぜんの娘であるところの、ことの名手である友達は、小さな体に目立めだたない渋いつくりでつつましく、クックッと笑った。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
口重くちおもで人のいい乳兄弟の孫七といつまでも自分の子供と思っている乳母のお兼。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)