取舵とりかじ)” の例文
取舵とりかじだい‼」と叫ぶと見えしが、早くもともかた転行ころげゆき、疲れたる船子ふなこの握れるを奪いて、金輪際こんりんざいより生えたるごとくに突立つったちたり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
少し面舵おもかじ、——そうだ、——ようそろ(註七四)、——面舵、——少し取舵とりかじ、——ようそろ、——ようそろ!
すると、伝馬はどうしたのか、急に取舵とりかじをとって、みよしを桜とは反対の山の宿しゅく河岸かしに向けはじめた。
ひょっとこ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
まんじ丸は徐々じょじょと川口へ向ってすべりだしてくる。そして、やや取舵とりかじに一のくいとすれすれに鏡の海へかみかけた。啓之助の船は、脇備えの形をとって、その後から漕ぎ従う用意をする。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
取舵とりかじ一杯」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
取舵とりかじ!」とらいのごとき声はさらに一喝いっかつせり。半死の船子ふなこ最早もはや神明しんめい威令いれいをもほうずるあたわざりき。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
取舵とりかじ!」
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)