創造つく)” の例文
人と自然と、神の創造つくり給える全宇宙が罪の審判のために震動し、天のはてより地のきわみまで、万物呻吟しんぎんの声は一つとなって空にちゅうする。
どんな幽霊でも化物でも、人間の形にのっとるのは、不思議なようで不思議で無い。幽霊や化物を創造つくり出した者が、その人間であるのだから。
妖異むだ言 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一日じゅうそんなことをしている。ところで君、こんな獣がなんで必要なのかね。なんのために創造つくられたのかね。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
やがては、師のいわれるように『観ることが愛することであり、愛することが創造つくることである』
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
私は彼のことを自然がその英雄達——基督教徒キリストけうとと異教徒の——その立法者、その政治家、その征服者達を創造つくり出した材料で出來てゐる人だと考へた。巨大な利害を擔ふべき頑丈なとりで
答『イヤこれは最初さいしょ人類じんるい創造つくときの、ごくとお大古たいこ神業かみわざであって、今日こんにちでは最早もはやその必要ひつようはなくなった。そなたもるとおり人間にんげん男女だんじょ立派りっぱ人間にんげんんでるであろうが……。』
自分の頭脳一つだけで、死物、ものをいわぬ物質しなものを使い、自由に勝手に物を創造つくり上げる。不満はあっても自分だけの不満だ。……わしの方はそうはいかぬ。相手は生きている人間だ。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「だがツクヅク考えてみると、麗人達の文明も、俺らの文明も大したものじゃアねえ。いっそそれよりその二つを、一つに合わせたその物から、新しく創造つくったものの方が、一層いいに相違ねえ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
堯舜ぎょうしゅんの世はなかったのだ。なかったから孔夫子こうふうし創造つくったのだ。孔夫子に創造つくれた堯舜の世なら、組紐のお仙にも創造つくれる筈だ。彼女、自ら心内に、堯舜の世を形成かたちづくり、そこに住んだに相違ない。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)