分相応ぶんそうおう)” の例文
だからおまえたちもこれからこころれかえて分相応ぶんそうおうに、ひとてたもののこりや、たわらからこぼれたおこめまめひろって、いのちをつなぐことにしてはどうだ。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
の中のかわず——おまえなんかに天下のことがわかるものか、この島をでたら、分相応ぶんそうおうに、人の荷物にもつでもかついで、その駄賃だちん焼餅やきもちでもほおばッておれよ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「願うなら、何か尋常な、分相応ぶんそうおうのことを願いなさるがいい。くれぐれも、滅茶を願うてはなりませぬぞ。」
しかし、無理をして勉強せよとも、是非ぜひえらくなれとも私たちは決して言わなかった。ただ分相応ぶんそうおうにその道に精進しょうじんすべきは人間の職分しょくぶんとして当然のことであるとだけは言った。
巴里のむす子へ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)