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其尾
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そのを
愛ちやんは
先づ
裁判官の
席を
見、それから
大急ぎで
蜥蜴を
逆さまに
置きました。
憐れな
小さな
物は、
全く
自由に
動くことが
出來ないので、
只悲しさうに
其尾ばかり
振つてゐました。
『それならねえ』と
猫は
續けて
云つて、『お
前は、
犬が
怒る
時には
唸り、
喜ぶ
時には
其尾を
振るのを
見たらう。ところが
今、
私は
喜ぶ
時に
唸り、
怒る
時に
尾を
振る。だから
私は
狂人さ』