おさま)” の例文
重吉はかつて我儘わがままで身のおさまらない年上の女と同棲どうせいした時の経験もあるので、下手したでに出て女をあやなすことにはれている。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
がい剃頭店ていとうてん主人、何小二かしょうじなる者は、日清戦争に出征して、屡々しばしば勲功をあらわしたる勇士なれど、凱旋がいせん後とかく素行おさまらず、酒と女とに身を持崩もちくずしていたが、去る——にち
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一沈一浮共に苦楽を同うす可しと雖も、其夫の品行おさまらずして内に妾を飼い外に花柳に戯れ、敢て獣行をほしいままにして内を顧みざるが如きは、対等の配偶者を侮辱し虐待するの罪にして断じて許す可らず。
新女大学 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
勿論人の妻として才色ふたつながら非の打ちどころのない事はく承知しているが、その後清岡は月日の立つにつれて自分の品行のおさまらないところから、何となく面伏おもぶせな気がしだして
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)