仏陀ぶつだ)” の例文
例えば仏陀ぶつだの幽玄な哲学は、一切の価値を否定することに於て、逆に価値の最高のもの(涅槃ねはん)を主張している。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
しかし仏陀ぶつだと菩薩像の深さは、飛鳥白鳳はくほう天平前期において世界に冠絶すると考えないわけにゆかないのである。彫刻という観念では律しられないのである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
お前の先祖は仏陀ぶつだ御在世ございせいの時分、きつとガンヂスがは燈心草とうしんぐさの中で、昼寝か何かしてゐたのだ。
動物園 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
巴豆はづといひ附子ぶしといふも皆是薬、障礙しやうげ悪神あくじん毘那耶迦びなやかも本地はすなはち毘盧沙那如来びるしやなによらい、此故に耆婆きばまなこを開けば尽大地の草木、保命ほうみやうの霊薬ならぬも無く、仏陀ぶつだ教を垂るれば遍虚空へんこくう鬼刹きせつ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
まして東洋の静かな血が通い、仏陀ぶつだの教えによって育てられた心には他の生活が如何に無常に思えたであろう。貴方がたは静かな森の中や、人里のまれな山深くに心の寺院を建てた。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
彼等は全宇宙ぜんうちゅう吾有わがものにしなければ満足せぬ。むしろ吾を全宇宙に与えなければ満足せぬ。其一切を獲ん為には、有てる一切をてゝ了う位は何でもない。耶蘇も仏陀ぶつだも斯恐ろしい人達である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たとへば、仏陀ぶつだ無憂樹むゆうじゆ
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼らは我々のように無遠慮な批評がましい観察などしなかったにちがいない。合掌のあいまに、彼らもまた仏陀ぶつだのごとく半眼にひらいて陶酔したのではなかろうか。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
そしてもしこの意味なら、此処に「貴族的」と言う言葉は、耶蘇ヤソにも、仏陀ぶつだにも、トルストイにも、一切の義人と生活者に共通し、その人格的本質の特色になるだろう。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
あの古代のパンの神に似たアナトオル・フランスのユウトピア(「白い石の上で」)さへ仏陀ぶつだの夢みた寂光土じやくくわうどではない。生老しやうらう病死は哀別離苦と共に必ず僕等を苦しめるであらう。
これが頽廃した文明から逃れんとした一ヨーロッパ人が、東洋の孤島で夢みた涅槃ねはんだったのである。そしてゴーガンはしくも仏陀ぶつだおしえをひそかにあこがれているのである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「東方の人」はこの「衛生学」を大抵涅槃ねはんの上に立てようとした。老子は時々無何有むかいうの郷に仏陀ぶつだと挨拶をかはせてゐる。しかし我々は皮膚の色のやうにはつきりと東西をわかつてゐない。
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)