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人香
聞くほどは
人香こもらへこれの鞠
手触りすべなもなにかゆがみて
門庭よ冬の夜寒も
燈は洩れて住みつきたらし
人香こもれり
目前へ
路がついたように、座敷をよぎる
留南奇の
薫、ほの
床しく身に染むと、
彼方も思う男の
人香に寄る
蝶、処を
違えず二枚の襖を、左の外、立花が立った前に近づき
彼の
出でて帰らざる恋しさに
堪へかねたる
夕、宮はその机に
倚りて思ひ、その
衣の
人香を
嗅ぎて
悶え、その写真に
頬摩して
憧れ、彼
若し
己を
容れて、ここに優き
便をだに
聞せなば