乾肉ほしにく)” の例文
舟には食料の乾肉ほしにくが貯えてありましたので、女はそれを取って従卒らに食わせましたが、かれらの手はみな鳥の爪のように見えました。
其處そこ乘組人のりくみにん御勝手ごかつて次第しだい區劃くくわく彈藥だんやく飮料いんれう鑵詰くわんづめ乾肉ほしにく其他そのほか旅行中りよかうちう必要品ひつえうひんたくわへてところで、固定旅櫃こていトランクかたちをなしてる。
そして一行中の車には酒、乾肉ほしにくなど多量な物資まで持ってきたので、その夕は、これが全軍にねぎらわれ、久しぶりに陣地には生色がよみがえった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道家はそこで腰から皮かごいて、その中の乾肉ほしにくってい、それが終るとかたわらの木の根の枕を引寄せて寝たが、疲労しているのですぐ眠ってしまった。
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いつもひだるい腹を抱えて居るところでとうといラマに逢いに行くと、ラマというのは大抵皆金満家ですから昼御膳ごぜんなどはなかなか立派なもので、前には乾肉ほしにくの山が出来て居る位。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
腰の皮籠かわかごには用意のけだもの乾肉ほしにくがあるので空腹は気にしなかった。道家はどこかほこらでもあれば一と眠りして帰ろうと思いだした。彼は眠れるような場所はないかと思って注意しいしい歩いた。
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)