上士じょうし)” の例文
脇屋の家は七百石の老臣格で、代二郎は寄合肝煎よりあいきもいりを勤めている。除村は上士じょうしの下の番頭ばんがしらで、久良馬は「練志館」の師範を兼ねていた。
初夜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
二百石取りの上士じょうしばかりで、三村次郎左衛門を除いては、元の身分が違うから、何となく話しもそぐわないような気がして、黙って隅の方にひかえていた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
そして従来石高こくだかを以て給せられていたものは、そのまま俵と看做みなして同一の削減を行われた。そして士分を上士じょうし、中士、下士にわかって、各班に大少を置いた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
或は上士じょうし下士かしとの軋轢あつれきあらざれば、士族と平民との間に敵意ありて、いかなる旧藩地にても、士民共に利害栄辱えいじょくともにして、公共のためをはかる者あるを聞かず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
江戸に召しかえされてからの先生は昇平校しょうへいこうという名高い学校の頭取とうどりを命ぜられ、上士じょうしの位に進み、さらに鑑察かんさつといってだれでもうらやむ重い役目をつとめることになりました。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ただに大臣のみならず、上士じょうし用人役ようにんやくたる者に対しても、同様の礼をなさざるを得ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
また一方には上士じょうし下士かしとの分界をなおあきらかにして下士の首をおさえんとの考を交え、そのじつはこれがため費用を省くにもあらず、武備をさかんにするにもあらず、ただ一事無益の好事こうずくわだてたるのみ。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
維新の際に一身の進退と私は小士族の家にうまれ、その頃は封建時代の事で日本国中いずれも同様、藩の制度は守旧しゅきゅう一偏いっぺんの有様で、藩士銘々めいめいの分限がチャントまって、上士じょうしは上士、下士かしは下士と
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)