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わぎもこ
わがやどの尾花押し
靡べ置く露に手触れ
吾妹子ちらまくも見む (巻十、秋雑)
自然と
焔硝の煙に
馴ては
白粉の
薫り思い
出さず
喇叭の響に夢を破れば
吾妹子が寝くたれ髪の
婀娜めくも
眼前にちらつく
暇なく、恋も命も共に忘れて敗軍の無念には
励み、
凱歌の鋭気には乗じ
パリス (廟の前へ進みて)なつかしい
花の
我妹子、
花を
此新床の
上に
撒いて……あゝ、
天蓋は
石や
土塊……
其撒いた
草花に
夜毎に
香る
水を
注がう。
若しそれが
盡きたなら、
歎きに
搾る
予が
涙を。
五番町石橋の上で
我○○をたぐさにとりし
我妹子あはれ