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ゆきあひ
以て千太郎が朝歸りの
折柄新吉原土手にて其方
行逢見るに忍びず
異見を爲すこと
數度に及び千太郎
面目無さに
逃んと爲すを其方
取押へるはずみに
咽喉の
呼吸を
こゝのあるじに
行逢、
何方へとたづねければ
稲倉村へ
行とて
行過給ひぬ。
聞合せて
參るまじきにも
非ず其時は
逗留と答へよと下々迄申付置しに是は雅樂頭殿に
油斷させ明朝
途中にて
行逢威光を見せんとの
謀計なりしとぞ斯る巧のありとは
夢にも知ず其言葉を
もさゝず
曉方に平川天神の裏門通りにて
行逢たりと云忠兵衞とかの方へ
赴き證據人に必ず立と云處を
突留其上
玄關へ
委細を申し立
若取上て
呉ぬ時は
駈込願ひを
爲すべし又
幾度駈込願ひを
筑波嶺のみちの
邂逅にやまびとゆ聞きて知りたるやまぶきさうの花