“ほうりだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
投出64.7%
抛出17.6%
擲却5.9%
放出5.9%
放擲5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その日は、人の心を腐らせるような、ジメジメと蒸暑い八月上旬のことで、やがて相川も飜訳の仕事を終って、そこへペンを投出ほうりだした頃は、もう沮喪がっかりして了った。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ところで俺は其の沙漠の中に抛出ほうりだされたやうなものなんだ。時々オーシスに出會でつくわするやうなことも無いぢやないか、淋しい旅だ!何方を向いたツて、さゝへて呉れるやうな者が見當みあたらない。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いけ年をつかまつってもとかく人真似まねめられぬもの、ましてや小供といううちにもお勢は根生ねおい軽躁者おいそれものなれば尚更なおさら倐忽たちまちその娘に薫陶かぶれて、起居挙動たちいふるまいから物の言いざままでそれに似せ、急に三味線しゃみせん擲却ほうりだして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
舌鼓したつづみを打ちながら文三が腹立しそうに書物を擲却ほうりだして、腹立しそうに机に靠着もたれかかッて、腹立しそうに頬杖ほおづえき、腹立しそうに何処ともなく凝視みつめて……フトまた起直ッて、蘇生よみがえッたような顔色かおつきをして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何処どこにも白粉の影は見えず、下宿屋の二階から放出ほうりだした書生らしいが、京阪地かみがたにも東京にも人の知った、巽辰吉たつみたつきちと云う名題なだい俳優やくしゃ
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やがてまた持切れそうもない今の家を一思いに放擲ほうりだしてしまいたいような気分になっていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)