抛出ほうりだ)” の例文
さすがに長女は長女だけに、姉をもってみずから任じているから、うがい茶碗をからからかんと抛出ほうりだして「坊やちゃん、それは雑巾よ」と雑巾をとりにかかる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところで俺は其の沙漠の中に抛出ほうりだされたやうなものなんだ。時々オーシスに出會でつくわするやうなことも無いぢやないか、淋しい旅だ!何方を向いたツて、さゝへて呉れるやうな者が見當みあたらない。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
と、一人が、一文銭を、抛出ほうりだした。女の子は、次の部屋へ唄って行った。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)