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ふるてぬぐひ
手拭は
無いか、……
無ければ
遣る……これ/\
古手拭を
出して
遣んな、……ソレ
此手拭で
縛るが
宜い、アレサ
然う
裂かなくつても
宜いやな、……
無ければ
復た
古い
手拭を
遣るよ……。
坂の
見霽で、
駕籠が
返る、と
思ひながら、
傍目も
触らなかつた
梶原さんは、——その
声に
振返ると、
小笠原氏が、
諸肌ぬぎになつて、
肥腹の
毛をそよがせ、
腰に
離さなかつた
古手拭を
頸に
巻いた。
出て
戻る頃漸々東が
白み出し雨も
小降に成たる故
浮羅々々戻る
向より
尻つぺた迄
引端打古手拭で
頬冠り
傘をも指ずに
濡しよぼ
垂小脇差をば後ろへ廻し
薄氣味惡き
坊主奴が來るのを見れば長庵故
傘を