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どうしゆく
崖の
下、
葎生ひ
茂りて、
星影の
晝も
見ゆべくおどろ/\しければ、
同宿の
人たち
渾名して
龍ヶ谷といふ。
申入るゝ者多かりしが
今度同宿の
杉戸屋富右衞門が
媒人にて
關宿在坂戸村の名主是も
分限の聞えある
柏木庄左衞門の
悴庄之助に
配偶せんとて
既に
約束整ひ
双方の
結納を
それがございましたので、
初め
只骨惜みをしない、
親切な
同宿だと
存じてゐました
豐干さんを、わたくし
共が
大切にいたすやうになりました。すると
或る
日ふいと
出て
行つてしまはれました。