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ぢさん
今歳も
今日十二
月の十五
日、
世間おしつまりて
人の
往來大路にいそがはしく、お
出人の
町人お
歳暮持參するものお
勝手に
賑々しく、
急ぎたる
家には
餠つきのおとさへ
聞ゆるに
遂て遣はすシテ其
遺書を
持參致居るかと問るゝに
御意の如く
持參仕つりしと吉兵衞は
懷中より取出して
指出しければ越前守殿是を
屹度持參の
事、と
言ふ……
蓋し
發會第一番の——お
當めでたうござる——
幹事の
弴さんが……
實は
剩錢を
集める
藁人形に
鎧を
着せた
智謀計數によつたのださうである。