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たかす
翌朝知縣に
送られて
出た。けふもきのふに
變らぬ
天氣である。一
體天台一
萬八千
丈とは、いつ
誰が
測量したにしても、
所詮高過ぎるやうだが、
兎に
角虎のゐる
山である。
少し
高過ぎるくらゐに
鼻筋がツンとして、
彫刻か、
練ものか、
眉、
口許、はつきりした
輪郭と
云ひ、
第一櫻色の、あの、
色艶が、——
其が——
今の、あの
電車の
婦人に
瓜二つと
言つても
可い。
「けさ電話かかって、
高須の方へ出掛けたらしい」