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ごみぶん
お
心細き
御身なればこそ、
小生風情に
御叮嚀のお
頼み、お
前さま
御存じはあるまじけれど、
徃昔の
御身分おもひ
出されてお
痛はしゝ、
我れ
後見まゐらする
程の
器量なけれど
聞より相摸守殿は
恐ながら左樣の
仰聞らるゝ計にては
會得も
仕つり難し右には
其御因縁も候はんが其を
委敷仰聞られ
下されたしといふ
其時伊賀亮少しく
席を
進み相摸守殿に向ひ相摸守には
上の
御身分を
それでもあなたは一
家の
御主人さまに
成りて
釆配をおとりなさらずは
叶ふまじ、
今までのやうなお
樂の
御身分ではいらつしやらぬ
筈と
押へられて、されば
誠に
大難に
逢ひたる
身と
思しめせ。