“かます”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
84.5%
梭魚8.5%
2.8%
1.4%
1.4%
1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
蝋塗りに螺鈿らでんを散らした、見事なさやがそこに落散つて、外に男持の煙草入たばこいれが一つ、金唐革きんからかはかますに、その頃壓倒的に流行つた一閑張いつかんばりの筒。
貝床の谷へ梭魚かますが坐りこむと、どんな貝床でも捨てるよりしょうがない。この辺の梭魚は七尺もある大梭魚で、のみ棒みたいな長い嘴をしごいて矢のように飛びついてくる。
三界万霊塔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そのうちの二人は熊本の高等学校の教師で、その二人のうちの一人は運悪くせむしであった。女では宣教師を一人知っている。ずいぶんとんがった顔で、きすまたはかますに類していた。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
目かれせねばしばしやすらひたるに、農夫のうふ二人きたりおの/\かます脊負せおひてかの橋をわたらんとす。
○秋山の人はすべて冬もきのるまゝにてす、かつ夜具やぐといふものなし。冬は終夜よもすがら炉中ろちゆうに大火をたき、そのかたはらねふる。甚寒にいたれば他所より稿わらをもとめて作りおきたるかますに入りて眠る。
「切れそうも無い莱切なきり包丁が一丁あるだけ、そう/\見事な懐中煙草入がありましたよ。かますの中には、国分こくぶの上等が少々、多分山之助のものでしょうが、少し贅沢ぜいたくですね」
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
蹲踞しゃがんでをみていると、飛んでゆく鳥の影が、まるでかますかなんかが泳いでいるように見える。水色をした小さいかにが、石崖いしがけの間を、はさみをふりながら登って来ている。
田舎がえり (新字新仮名) / 林芙美子(著)