“梭魚(かます)” の例文
やがて雪が解けはじめ、梭魚(かます)が尾で氷を砕いた。だが、ペトゥローの容態には依然として変りがなく、時と共にいよいよ気むづかしさがつのる一方だつた。
貝床の谷へ梭魚(かます)が坐りこむと、どんな貝床でも捨てるよりしょうがない。この辺の梭魚は七尺もある大梭魚で、鑿(のみ)棒みたいな長い嘴をしごいて矢のように飛びついてくる。
三界万霊塔 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
鯵や梭魚(かます)の類が、少い時は桶四五杯多い時には三四十杯も取れた。特殊な魚だけを別により分けて、残ったのを桶一杯ずつ砂の上に積み上げた。買手が大勢来て待っていた。
月明 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
博士のお喋舌(しやべり)と言へば、いつでも国語教育の一点張で、相手が唖(おし)であらうが梭魚(かます)であらうが、博士はそんな事には頓着なく、閑(ひま)さへあれば直ぐ国語教育の談話(はなし)を押しつける。
もうこれで二十二年もそうやっている。夜昼なしにな。梭魚(かます)やネルマ鮭は水の中だが、俺は水の上だ。それも有難い神様の思召しよ。俺は何にも欲しくない。こんな気楽な境涯はないぜ。
追放されて (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
梭魚(かます) 七八・六五 一七・九九 二・一一 一・二五
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)