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おぢさま
伯父樣に
疵のつかぬやう、
我身が
頓死する
法は
無きかと
目は
御新造が
起居にしたがひて、
心はかけ
硯のもとにさまよひぬ。
何家などは
何うでも
宜ござります、
伯父樣御全快にならば
表店に
出るも
譯なき
事なれば、一
日も
早く
快く
成つて
下され、
伯父樣に
何ぞと
存じたれど、
道は
遠し
心は
急く
逃げもせず
隱られもせず、
欲かしらねど
盜みましたと
白状はしましよ、
伯父樣同腹で
無きだけを
何處までも
陳べて、
聞かれずば
甲斐なし
其塲で
舌かみ
切つて
死んだなら